ブルータスの『森山大道特集号』を買った。

BRUTUS(ブルータス) 2016年 3/1 号 [雑誌]

正確には3月1日号か。この雑誌を買うのも久しぶりだ。過去にも写真特集号を出していた気がする。が、大半がキャノンのカメラの広告のような記事で、あまりおもしろくなかったように覚えている。だから印象にも残っていないのかもしれない。

今号は好きな写真家の特集だから購入した。森山大道の何がいいのか、自分でも言い表せないけど、なんかね、好きなんですよこの方の撮り方というか写真が。

最初に読んだ写真集の『遠野物語』のインパクトが大きかったのもあるかな。民俗学を専攻してた学生時代に手にとった1冊だったけど、正直「写真てこんな撮り方していいの?ありなの?」て思った。ハイコントラストで真っ黒で何が何だかよくわかんない。写真=きれいに写っているもの、という固定観念しかなかった当時(しかも基準は報告書用の写真)の私には衝撃的だった。たぶん世界中には同じような経験をして、その影響を受けて似たような写真を撮っている人々も多いんだろう。私もたぶんその一人に入ると思う。

さすがにGRやGXRやE-Pシリーズやらに「森山大道フィルター」こと「ハイコントラスト白黒フィルター」が乗った時はちょっと笑ってしまった。作家がたどり着いた作風が、こうも簡単にエミュレーションされて再現できるなんて。

RICOH デジタルカメラ GR APS-CサイズCMOSセンサー ローパスフィルタレス 175740

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誰だったか、田中長徳だったかな、「まさかこの”モード”で世界に乗り込もうという人はいないよね?」みたいなことをチクリとどこかで書いていた気がする。 

 

特集記事自体はまぁ、いつものブルータスの記事ですね、て感じで分厚いものではなく、表面をサラリとなでるような形のもので、関連する作家だとかがコメントを寄せているものになっていた。そんなコメントよりも作品をもっと掲載してほしかった。

ただ、一問一答ならぬ三九問三九答があったのがよかった。ぶっちゃけいうと、読み応えあったのはここだけだった。

Q22.街を歩く際のルールを教えてください。

A22.デジカメの電源は入れっぱなしにしておくこと。商店街は往復すること。時々、後ろを振り返ってみること。とにかく、どんな街でも路上をあたう限りくまなく歩くこと。

ここらへんは『路上スナップのススメ』でも似たようなことを述べていたと思う。もっとたどれば『犬の記憶』とかに類似する記述があったんじゃないかな。ちょっと今本がどこかに行ってしまったので確認できないけど。

森山大道 路上スナップのススメ (光文社新書)

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犬の記憶 (河出文庫)

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Q26.カメラを持つ人に伝えたいことはありますか? 

A26.どうせカメラを持っているんなら、いっぱい写しましょう。いっぱい写しているとき、自分が何をやっているかが、だんだんわかってくるんだよ。ダメなものの中に気に入ったものがひょこっと出てくる。そのまぐれに惹かれて撮るうちに、自分が撮っているものが何なのか、だんだん見えてくることもあるよね。自分が被写体に対して消極的になっているとか、積極的になっているとか、たくさん撮ることによって体感される。すると、自分自身のことがわかってくるようになるんだよ。写真ってボタンを押すだけだからさ。目の前に料理が来たから撮ろうが、友達を写そうが、なんであれ大げさに言えばすべては記録なんだよね。そこが写真のしたたかなところで、みんなのイメージを全部集めて、すごい世界を提示することができる。そこまで大きな意味で言うつもりはないけど、とにかく撮りなさい。これはすごく大事なことだけど、写真は本質的にアマチュアリズムだから。

「とにかく撮り続けなさい」はい、がんばります。

このインタビュー記事のためだけに買ったと言っても過言ではない。むしろここをもっと掘り下げて欲しかったですね。

好きな写真集

森山大道の写真集はあれこれ買い集めた。『にっぽん劇場写真帖』は廉価版の古書で入手したけど、それでも1万近くした。オリジナルにいたっては25万とかそんな値段がついててびっくりする。

にっぽん劇場写真帖 (フォト・ミュゼ)

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 ↑たしかこのバージョン。

あとは『新宿+』とか『大阪+』とか。森山大道と荒木経惟のコラボ写真集なんかも出てたけど、購入直前で絶版になって、慌ててアマゾンのマケプレで購入した記憶がある。

森山・新宿・荒木

森山・新宿・荒木

  • 作者: 森山大道,荒木経惟
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 あとは特集でも取り上げられているウィリアム・クラインとの展覧会図録とかかな。アマゾンじゃなくて洋書取り扱ってるオンラインショップで購入した。いま部屋の中で行方不明になってる本の1冊。

最近だと『記録』シリーズがKindle版ほか電子版で読めるようになっている。

記録29号

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こうした写真集に関してもぐっと掘り下げて欲しい特集だった。それが不満でならない。雑誌という媒体で誌面も限られているからっていう部分はあるだろうけど。けど、そこをどうにかして欲しかった。

いろいろと不満もあるけど、インタビュー記事読めたからまぁいいか。